引っ越しをした際、旧住所宛てに送られた郵便物を新住所へ無料で転送してくれる日本郵便のサービス。インターネットから申し込める「e転居」は非常に便利ですが、一度設定した転送サービスを途中でやめたい(解除したい)場合や、転送期間を延長したい(更新したい)場合に、手続きの方法が分からず困る方が多くいらっしゃいます。

「前の住所に、自分宛ての手紙が絶対に届かないようにしたい」 「1年間の転送期間が終わるが、まだ旧住所宛ての郵便物が届くので延長したい予想外の事態だ」

このように、転送サービスの仕組みを正しく理解していないと、重要な郵便物の紛失や、思わぬ個人情報の漏洩に繋がる恐れがあります。

この記事では、郵便物の転送サービスを途中で解除できるのかという疑問にお答えし、旧住所への配達を止める方法や、1年間の期限を更新する正しい手続きについて解説します。

郵便物の転送サービス(e転居)は途中解除できない?

結論から申し上げますと、日本郵便のルール上、一度登録した転送サービス(e転居を含む)を、有効期間内(1年間)にシステム上で「キャンセル(解除)」したり「取り消し」たりする機能は用意されていません。

たとえば、「同棲を解消して実家に戻るため転送届を出したが、やっぱり復縁して旧住所に戻ることになった」というような場合、インターネットの画面上から「転送を取り消す」ボタンを押すことはできないのです。

では、どうすればよいのでしょうか。転送を解除して旧住所で再び郵便物を受け取るためには、「新住所から旧住所へ、もう一度転送届(引っ越しの手続き)を出し直す」という方法をとるのが日本郵便の公式な案内となっています。つまり、AからBへの転送を上書きする形で、BからAへの転送届を提出することで、結果的に元の住所に郵便物が届くようになります。

旧住所に手紙を届けさせないための正しい手続き

ストーカー被害に遭っている方や、DV(ドメスティックバイオレンス)から避難している方、あるいは単に前の住人に自分の情報を知られたくない方にとって、「旧住所に自分宛ての手紙が配達されること」は絶対に避けたい事態です。

転送届を出しておけば、旧住所宛ての郵便物はすべて新住所に転送されるため、旧住所のポストに投函されることはありません。しかし、転送期間の1年間が過ぎると転送は打ち切られ、差出人に戻されるか、最悪の場合は旧住所のポストにそのまま配達されてしまうリスクがあります。

旧住所に手紙を届けさせないための最も確実な防衛策は、転送サービスに頼り切るのではなく、「差出人に対する住所変更手続き」を徹底することです。クレジットカード会社、銀行、保険会社、携帯電話会社、通販サイトなど、あなたに郵便物を送ってくる可能性のあるすべての機関に対し、新住所への変更手続きを迅速に行ってください。

転送期間(1年間)を延長・更新する方法

転送サービスの有効期間は、届出日から1年間です。1年が経過すると、旧住所宛ての郵便物は転送されなくなりますが、「まだすべての住所変更が終わっていない」という場合は、転送期間を延長(更新)することができます。

更新の手続きは非常に簡単です。有効期間が切れる前に、再度インターネットの「e転居」から、あるいは郵便局の窓口にある転送届の用紙を使って、「旧住所から新住所へ」の転送をもう一度申し込むだけです。

特別な「更新手続き画面」があるわけではなく、新規で申し込むのと同じ手順を踏むことで、転送期間がそこからさらに1年間延長されます。これを繰り返せば、実質的に何年間でも転送を継続させることが可能です。

ストーカー・DV被害等で転送を悪用されないための対策

転送サービスに関連して、絶対に知っておくべき恐ろしい悪用手口があります。それは、悪意を持った第三者が勝手にあなたの名前で転送届を出し、あなたの郵便物を別の場所へ盗み取るという手口です。

日本郵便もこの問題を重く見ており、現在ではe転居の申し込み時に「マイナンバーカード」等の公的個人認証サービスを用いた厳格な本人確認が必須となっています。これにより、他人が勝手にネットから転送届を出すことは極めて困難になりました。

もし、DVやストーカー被害から逃れるために引っ越しをした場合、加害者があなたの郵便物を手に入れることを防ぐため、警察や役所の支援措置と併せて、郵便局の窓口へ直接赴き、事情を説明して郵便物の配達差し止めや厳格な転送管理を相談することが重要です。

まとめ:転送サービスは一時的なものと心得る

郵便物の転送サービスは非常にありがたい制度ですが、それに甘え続けていると思わぬトラブルに巻き込まれます。

・転送の中途解除はできず、元に戻す転送届を出し直す必要がある。 ・期間の延長(更新)は、再度同じ内容で申し込めば1年間延長される。 ・転送に頼らず、根本的な住所変更の手続きを各機関で行うことが最優先。

年度末の引っ越しでe転居を利用した方は、1年後の3月末には転送が切れることをスケジュール帳に書き込んでおきましょう。旧住所への誤配達を防ぐためには、あなた自身の徹底した住所管理が何よりも重要です。

免責事項 本記事は日本郵便が提供する転居・転送サービスの一般的な利用規約に基づいて解説しています。e転居のシステム仕様や本人確認の要件は、セキュリティ向上のため予告なく変更される場合があります。ストーカー被害等による特殊な郵便物の取り扱いについては、最寄りの警察署および集配を担当する郵便局へ直接ご相談いただき、適切な保護措置を受けてください。