引っ越しシーズンの混雑予想と解約手続き。ネット回線の撤去工事が3月末に間に合わない時の対処法
3月は進学や就職、転勤などが集中し、不動産業界や引っ越し業界にとって一年で最も忙しい超繁忙期となります。そして、それに比例して大混乱に陥るのが、光回線などの「インターネット回線の工事窓口」です。
「アパートの退去日が3月31日に決まったので、光回線の撤去工事をお願いしたら、最短で4月中旬になると言われた」 「撤去工事が終わるまで部屋の鍵を返せないと言われ、パニックになっている」
賃貸物件からの退去に伴い、自前で引き込んだ光回線のケーブルや機器を元通りに撤去する「原状回復」が求められるケースは少なくありません。しかし、3月末の混雑予想を甘く見ていると、撤去工事の予約が全く取れず、退去日に間に合わないという絶望的な状況に陥ってしまいます。
この記事では、年度末における通信業界の混雑予想の実態と、万が一光回線の撤去工事が退去日に間に合わない場合に、二重家賃やトラブルを防ぐためのベストな対処法について詳しく解説します。
3月末の引っ越し業界と通信業界の混雑予想
毎年3月の中旬から4月の上旬にかけては、引っ越しトラックの手配が困難になる「引っ越し難民」という言葉がニュースになるほど、物流と住居の移動が激化します。
これと全く同じ現象が、NTTなどの通信事業者や光コラボレーション事業者(ドコモ光、ソフトバンク光など)の工事部門でも発生しています。新居での開通工事と、旧居での撤去工事の依頼が全国から殺到するため、工事業者のスケジュールは瞬く間に埋まっていきます。
通常期であれば、撤去工事の予約は連絡してから1週間から2週間程度で手配できることがほとんどですが、3月末の繁忙期においては、3週間から1ヶ月以上待たされることも珍しくありません。3月に入ってから「月末に退去するので工事をお願いします」と電話をかけても、すでに手遅れとなっている可能性が極めて高いのが実情です。
撤去工事が間に合わないとどうなる?二重家賃のリスク
賃貸アパートやマンションの賃貸借契約では、退去時に部屋を元の状態に戻す「原状回復義務」が定められています。入居後に大家の許可を得て光回線を個別に引き込んだ場合、退去時にはその配線や光コンセントを撤去し、壁の穴を塞ぐなどの工事が必要になることが一般的です。
もし撤去工事が退去日(鍵の返却日)までに間に合わなかった場合、どうなってしまうのでしょうか。
最悪のケースとして、管理会社や大家から「原状回復が完了していないため、退去とみなすことはできない」と判断され、工事が完了して完全に部屋を明け渡す日までの家賃(日割り家賃、あるいは丸々1ヶ月分の家賃)を延滞損害金として請求される恐れがあります。新居の家賃と合わせて、恐ろしい二重家賃が発生してしまうのです。
また、次の入居者がすでに決まっている場合、回線が残っていることで次の入居者が自分の好きなネット回線を契約できないというトラブルに発展し、損害賠償を求められるリスクもゼロではありません。
工事が間に合わない時のベストな対処法
では、工事の予約がどうしても退去日に間に合わないことが判明した場合、どのように対処すればダメージを最小限に抑えることができるのでしょうか。
最初に行うべき行動は、通信事業者ではなく「アパートの管理会社(または大家)」に素直に事情を説明し、謝罪と相談を行うことです。「回線事業者の混雑により、どうしても撤去工事が4月〇日になってしまう」という事実を伝え、退去日以降の工事立ち会いをどのようにすればよいか指示を仰ぎます。
良心的な管理会社であれば、鍵を先に返却した上で、後日行われる撤去工事には管理会社のスタッフや管理人が立ち会ってくれる、あるいは工事業者のみで屋外から撤去作業を行ってくれるよう手配してくれるケースがあります。この場合、追加の家賃を請求されずに済む可能性が高くなります。
もう一つの対処法として、そもそも「撤去工事自体を免除してもらえないか」と管理会社に交渉してみることです。光回線の設備が部屋に残っていることは、次の入居者にとっても「工事不要ですぐにネットが使える」というメリットになる場合があります。大家側が「そのまま残置して構わない(むしろ設備として残してほしい)」と許可を出してくれれば、撤去工事そのものが不要となり、機器(モデムなど)を郵送で返却するだけで解約手続きを完了させることができます。
まとめ:撤去工事の予約は退去日の1ヶ月前に
引っ越しに伴うインターネット回線の解約および撤去工事は、退去における最大のボトルネックとなり得ます。
3月末という超繁忙期に退去予定がある方は、引っ越し先の物件が決まる前であっても、現住所の退去日が確定した瞬間に回線事業者へ連絡を入れ、撤去工事のスケジュールを確保することが何よりも重要です。理想を言えば、退去日の1ヶ月から1ヶ月半前には工事の予約を完了させておくべきです。
もし手遅れになってしまった場合は、パニックにならず、まずは物件の管理会社へ誠心誠意事情を説明し、「残置による工事免除」か「後日の管理人立ち会い」のいずれかの妥協点を引き出せるよう交渉を行ってください。
免責事項 本記事は一般的な光回線事業者および賃貸借契約の原状回復義務に関する慣習に基づいて解説しています。光回線の残置の可否や、撤去工事遅延による違約金・家賃の請求の有無は、賃貸契約書の内容や大家・管理会社の判断によって完全に異なります。また、回線事業者によっては独自の遅延損害金規定を設けている場合があります。具体的な対応については、必ずご自身の契約する管理会社および通信事業者へ直接ご相談ください。