「内定辞退の電話をするのが怖くて、スマホを持つ手が震える」 「怒られたり、理由を問い詰められたりするのが嫌だから、メールだけで済ませたい」

第一志望の企業に受かった喜びも束の間、待っているのは「滑り止めの企業への断り」という重いタスクです。

近年、就活の連絡手段はデジタル化が進んでいますが、それでも「お詫びは電話でするのが筋」という古いマナーも根強く残っています。 果たして、内定辞退はメール一本で済ませて良いのでしょうか?

結論から言えば、7割のケースはメールだけでOKですが、3割の「電話必須」な場面が存在します。

この記事では、メールだけで許される境界線と、どうしても電話が必要なケース、そして恐ろしい「会社への呼び出し(オワハラ)」を回避するための具体的な断り方を解説します。


そもそも「メールだけ」での辞退は失礼なのか?

ひと昔前までは「非常識」と言われましたが、現在は「メールのみでの辞退」も一般的なマナーとして定着しつつあります。

理由は以下の2点です。

  1. 人事担当者の効率化 人気企業の人事は、数百人〜数千人の学生を管理しています。一人ひとりの電話対応に時間を割くよりも、メールで一括管理できた方が助かるという実情があります。
  2. 証拠(ログ)が残る 「言った・言わない」のトラブルを防ぐため、文書で辞退の意思表示を残すことは双方にとってメリットがあります。

したがって、「内定承諾書を出す前(内々定の段階)」であれば、基本的にメール一本で丁寧に謝罪すれば問題ありません。


要注意!「電話」をかけるべき3つのケース

メールでOKとは言っても、以下の状況では電話をかけるのが「社会人としての守るべきマナー」です。これを怠ると、大学のキャリアセンターにクレームが入るなどのリスクがあります。

1. 内定承諾書(誓約書)を提出した後

これが最も重要なラインです。 承諾書を出したということは、企業側はあなたの入社準備(備品購入、研修手配、配属決定など)を具体的に進めています。 法的拘束力はないものの、企業に実害(コスト)が発生している段階ですので、メール一本で済ませるのは不誠実です。必ず電話で直接お詫びを伝えましょう。

2. リクルーターやOB・OGにお世話になった場合

人事担当者だけでなく、個別のリクルーターや大学の先輩(OB・OG)がついてサポートしてくれた場合です。 個人的な信頼関係を裏切る形になるため、メールだけで切ると「恩知らず」と思われ、将来業界内で再会した際に気まずくなります。人事への連絡とは別に、お世話になった個人へは電話(または丁寧な個別メール)を入れるべきです。

3. メールを送って3日以上返信がない場合

辞退メールを送ったのに、企業から「承知いたしました」という返信がない場合、「メールが届いていない」または「見落とされている」可能性があります。 この状態で放置し、入社式当日に「来ていない!」となるのが最悪のパターンです。確認の意味を含めて電話を入れる必要があります。


「呼び出し(オワハラ)」を回避する断り方テクニック

電話で辞退を伝えた際、最も恐ろしいのが「一度会社に来て話をしよう」「食事でもしながら考え直さないか」という呼び出し(引き止め)です。

これに応じると、長時間説得されたり、他社の悪口を聞かされたりして消耗するだけです。 呼び出しを回避し、電話口だけで完結させるための鉄壁のフレーズを紹介します。

鉄則:交渉の余地を見せない

相手が呼び出す理由は、「まだ迷っているのではないか」「説得すればひっくり返せるのではないか」と思うからです。 「決定事項である(もう変わらない)」ことを強調するのがポイントです。

【NG例:迷いが見える】 「自分でもまだ迷っている部分はあるのですが…」 「親に反対されまして…」 →(人事の心の声:じゃあ相談に乗ってあげるからおいでよ!)

【OK例:意思が固い】 「家族とも十分に話し合い、最終的に私自身の意思で決断いたしました」 「大変光栄なお話ですが、すでに他社への入社手続きを進めており、これ以上変更する予定はございません

「会社に来て」と言われた時の返し技

人事: 「電話じゃなんだから、一度オフィスに来てくれない? 直接話をしよう」

あなた(パターンA:多忙を理由にする): 「申し訳ございません。現在、学業(または卒論・研究)と入社準備でスケジュールが立て込んでおり、お伺いする時間を取ることが物理的に難しい状況です。お電話にて大変失礼とは存じますが、辞退の意思をお伝えさせていただきます」

あなた(パターンB:誠意を持って拒否): 「お伺いしてお詫びすべきところですが、私の意思は固まっております。お会いしても、翻意することはございませんので、貴重なお時間を頂戴するわけにはまいりません。このお電話をもって辞退とさせていただけますでしょうか」

ここまで言い切れば、まともな企業であれば諦めます。 「それでも来い」と言う場合は、「オワハラ」の領域ですので、「大学のキャリアセンターに相談します」と伝えれば電話を切れます。


【実践】メール+電話の合わせ技(不在狙い)

「どうしても電話で話すのが怖い」 「でも電話しないとマナー違反な状況だ」

そんな時の裏技は、「メールを送った直後に、不在を狙って電話する」ことです。

  1. まず、丁寧な「内定辞退メール」を送る。
  2. その直後(または昼休みなどの不在になりそうな時間)に電話をかける。
  3. 担当者が出た場合: 「先ほどメールもお送りしましたが、お詫び申し上げたくお電話しました」と伝える。メールを既に送っているので、話が短く済みやすい。
  4. 担当者が不在の場合(狙い目): 電話に出た別の方に、「採用担当の〇〇様宛にメールをお送りしましたので、ご確認いただくようお伝えいただけますでしょうか」と伝言を残す。

これなら、「電話をかけた」という既成事実(誠意)を残しつつ、直接対決を避けられる可能性が高まります。


まとめ:誠意とは「早さ」である

「怒られるのが怖いから」といって連絡を先延ばしにするのが、企業にとって一番の迷惑です。 人事は欠員が出たら、すぐに次の候補者に連絡しなければならないからです。

  • 内定承諾前ならメールでOK。
  • 承諾後なら電話をする。
  • 呼び出しには「意思は固い」と応じない。

このルールに従えば、大きなトラブルになることはありません。 嫌なことは一瞬で終わらせて、晴れやかな気持ちで残りの学生生活を過ごしましょう。

【免責事項】 本記事は一般的な就職活動の慣習およびマナーに基づいて解説しています。企業ごとの採用方針や、内定者との関係性によっては適切な対応が異なる場合があります。過度なハラスメント行為(脅迫や拘束など)を受けた場合は、個人で対応せず、直ちに大学のキャリアセンターや弁護士、労働局の相談窓口にご相談ください。

退会・解約の教科書 運営者情報・本サイトについて